2013.11.22 Roombeek復興計画の現在の姿

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Arnout Visser個展at Rijksmuseum, Twente

 かなり前のことなのですが、4月にオランダのデルフト市で都市計画を担当している友人たちと、オランダの東の端にあるEnschede(エンスヘーデ)市にあるRijksmuseum, Twente (トゥウェンテ国立美術館)へ行きました。

私の目的は、2000年にTRUNKがお手伝いをしたDroog&DutchDesign展(リビングデザインセンターOZONE)で知り合ったデザイナーArnout Visser(アーナウト・フィッサー)の個展を見ること。一方で友人たちの目的は別のところにもあるようでした。

 トゥウェンテ国立美術館まではエンスヘーデ駅から歩いて20分くらい。静かな住宅街にある小さくて居心地の良い美術館です。正面玄関から入ると、エントランスやショップ、カフェ、クロークなど美術館の様々なところに、アーナウトのガラス作品が古いものから最新作まで展示されていました。薄いガラス、量感のあるガラス、シンプルなガラス、ゴージャスなガラス。私は常々アーティストが選ぶ素材はその人自身に似ていると思っているのですが、アーナウトもまさにそんな人。繊細なのに大胆で、ピュアなのに情熱的!

美術館の裏に真新しいヴィラ群 -MuseumAvenue-

 ひととおり美術館を見終わると、友人たちは早速玄関とは別の扉から外へ。

美術館を背にして目の前に広がったのは、まっすぐで大きな道とその両脇に立ち並ぶ新しくてゴージャスなヴィラ、ヴィラ、ヴィラ!古い街並が自慢のオランダの中にあって、この風景はちょっと異常。すごい違和感を覚えました。

 友人曰く、ここはMuseum Avenueと呼ばれる一画で、Roombeek (ロームベーク)復興計画というものの一貫として計画されている地区だそう。彼らがエンスヘーデに来たもう1つの目的とは、このRoombeek (ロームベーク)地区の新しい都市計画を私に見せることでした。

ロームベーク復興計画

 友人が言うことには、2000年にこの地域にあった花火の貯蔵庫が火事になり、死者23名、負傷者947名を出す大惨事が起きたとのこと。そういえばニュースで見た記憶があります!

元々ロームベークは低賃金労働者用住宅と工場・倉庫が並び立つ地区だったそうですが、この花火惨事は世界最悪とも言われる規模のもので、何度もの大きな爆発(一番大きなものは4000-5000kgもの火薬による爆発だったらしい)で、地域にあった家の400件が崩壊し、1500件の周辺建物も大きなダメージを受けRoombeek全体が壊滅状態になったそうです。

 その後、建築家のPi de Bruijn (ピ・デ ブルイン)が中心となって復興を目的とした都市再開発計画が作られ、今でも継続中とのこと。

事故から13年後の姿

 新しいロームベークは、上のMuseum Avenueに加えて、Roomweg、Lonneker Spoorlaanの3つの大きな道で地域が文化ゾーン、事故を忘れないメモリアルゾーン、自然の多いリラックスゾーンに分けられています。

左:ミュージアムアベニューの突き当たりにあるthe Cremer museum。爆発の後をそのままガラスで覆って残している。Jan Cremerは“ik, Jan Cremer (日本語タイトル:ヨーロッパ・ヒッピー宣言)で有名な著述家、アーティスト

中:Cremer museumの壁面のディテール。”ik,Jan Cremer”の表紙イメージ

右:Museum TwentseWelleの一画。左手の倉庫のような建物はアーティストのアトリエ

アーティストのアトリエは一般に公開されています

メモリアルゾーンの脇にある水辺のオブジェクト。もともとあった水路を

利用して、飛び石は花火を表現しているそう

メモリアルパーク。ここに花火倉庫があった。

今もまだお花を持って訪れる人がいます

爆発のあと。コンクリートが割れて穴がぽっかり空いています

現在は、公園の周りに住宅やオフィス、店舗ができてます

 悲しいことを乗り越えての超ポジティブ大規模都市開発。バス道路は一般車輌が入れなくなっていたり、クルマが通る道路の真ん中にも芝が植えられていたりエコを意識した都市計画で、新しい人もどんどん移り住んできているそうです。これからビールのGrolschの醸造工場もできるみたい(エンスヘーデはGrolshchの地元)。まだまだ開発途中の印象でしたが、『ヨーロッパ・ヒッピー宣言』のthe Cremer Museumも気になるし、街もコミュニティもどんどん変わっていくだろうし、また5年後くらいに見に行きたいと思います。

ロームベークに興味がある方はここをチェックしてみてください。

www.roombeek.nl

ウェルカム トゥ パラダイス!

 最後に、トゥウェンテ国立美術館へいくことがあれば、駅からの道の途中にあるHet Paradijs(ヘット パラダイス)というビオレストランへ寄ってみてください。ここは元工場を、アーティストのAdriaan Schalken (アドリアン・スハルケン)が障害を持つ人や薬物やアルコールの問題を持つ人、ボランティアと一緒にインテリアを作った地元ではちょっと有名な場所。全体の雰囲気はいわゆるニューエイジって感じで、寒—いオランダで南方系の植物がわしわし育っている様子はまさにミニパラダイスです。ごはんも美味しい。あっ結婚式とかもできます!

hetparadijs.com

文:西中川 京(プロジェクトコーディネーター/キュレーター)

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