2014.11.08 アトリエタイク流〈民芸玩具〉目利きのお店 ateliergang/アトリエガング

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アトリエガング誕生

 10月13日にグラフィックデザイン事務所アトリエタイクが、事務所の1Fに〈民芸玩具〉のお店『atelierganguアトリエガング』をオープンしたと聞き、早速お邪魔してきました。

入口にあるこだわりの変形のぼり旗

 臼田さんと飯島さんが主宰するアトリエタイクとTRUNKとは、2005年からのおつきあい。大塚食品の「あ!あれ食べよ」のパッケージデザインから始まり、これまで様々な展覧会や講演会などのアートディレクションをお願いてきました。

 アトリエタイクさんのデザインは、カラフルでチアフル。見る人のハートを一瞬で捕らえてしまう魅力があります。私はそんなタイクさんのデザインが大好きなのですが、それと同じくらい好きなのが、臼田さんと飯島さんの深く広がりのあるウンチク!これまでも「11次元」、「足健康法」など、二人に感化されたこと数限りなし。そしてその時々に話題に出てきていたキーワードが〈民芸玩具〉でした。

 二人からはじめて〈民芸玩具〉のお店を作りたいと聞いたのは、2011年の初夏。その後、〈民芸玩具〉がある土地を巡り、職人さんを訪ねる調査をしているとは聞いていましたが、まさか一年後に本当にお店ができてしまうとは!すごい行動力です。今回は、臼田さんにお話を伺ってきました。

タイク目利きの民芸玩具たち

 お店は、以前打ち合わせスペース兼ギャラリーだった場所。そこに、知り合いの建築家(西片建築設計事務所)に設計してもらった大きな三段什器がドーンと置いてあり、その上に気持ちよい程みっちりと、アトリエタイク目利きの〈民芸玩具〉が並べられています。

お店の入口側から見た三段什器

 〈いせ辰〉の犬張子。〈ねこや〉の招き猫。〈蔦屋〉の木地玩具に〈博進社〉のコマ。栃木や春日部の張子に長崎のハタなどなど、今の私たちの目から見ても可愛くてキュートなものばかり。

タイクさんといったら〈ねこや〉の高崎まねき猫!

テーブルの上も、引き出しの中も、コマや剣玉、木製玩具がきっちりと

〈いせ辰〉のぽち袋もズラーリ。アトリエガンクで選択した千代紙の箱もあります

〈博進社〉の民芸こま。写真左は透明こまと言って、

回すと富士山の形などが浮かび上がります

 日本の色々な地方に出向いて、職人さんと話をし、実際のモノを一つ一つ確認しながら選んだ〈民芸玩具〉には、タイクさんのデザインにも通じる暖かさと懐かしさとユーモアに溢れています。そしてその表情の豊かさには、楽しさを振り切ったところにある、一種の哀しみに通じる深さも感じることができます。

福島・三春のひょっとこ面。このお面を作った職人・橋本広司さんは、踊りもまた名人なのだそうです

愛すべき生活[非]必需品の数々

 ところで、なぜ〈民芸玩具〉だったのでしょう。どうして〈民芸品〉や〈クラフト〉ではなかったのでしょう。率直に言って、〈民芸玩具〉は、文化的視点で見たら豊かなものでも、現代産業の視点で見ると非常に厳しい状況にあることが容易に想像できます。特に東日本大震災以降、日本の社会も経済もずっと落ち着かない様相を呈する中で、〈民芸玩具〉を取り巻く状況はまさに崖っぷちとも言えるでしょう。しかし臼田さん、飯島さんは、そのことも分かった上で、〈民芸玩具〉を愛情を込めて、“愛すべき生活[非]必需品の数々”と表現します。「民芸玩具は生活必需品じゃない。はっきり言って要らないもの。だけど時代が変わってもその土地その土地で細々と残っている。強いよね。なんでかな?それにまだどうしてだか分からないけれど、こういう生活必需品じゃないものって、本当はとても大切なもののような気がする」と。

 また、〈民芸玩具〉は、学術体系的に未整理で、生まれた時期や理由や経緯が分からないことが多かったり、コレクタションという価値観の遊びの側面を持っていたり、また「名人」を媒介に、一種の職人ソサエティが形成されていることも、学究肌のタイクさんには、ぴたりと当てはまっているのだと思います。

 最後に臼田さんは、今回お店を持ったことで、実際に産地で職人さんの心意気に触れる喜びに加えて、〈民芸玩具〉やその産業に対する責任のようなものを感じるようになったと話してくださいました。これからアトリエガングで、タイクさんが〈民芸玩具〉の持つ沢山の???にどういう答えを出していくのが楽しみです。

ショップ奥にズラリと並んだ民芸玩具コレクション

アトリエガングには非売品も沢山展示されています。

それはその中の一つ。木地玩具〈蔦屋〉の一品です。

こういうコレクションを見に行くだけでも楽しいと思います

 アトリエタイクさん目利きの〈民芸玩具〉のお店・アトリエガングでは、今後も続々と新商品を入荷する予定だそうです。アトリエガングは、代々木上原駅から、徒歩8分くらいのところにあります。運が良ければ臼田さんから直接、一つ一つのお話を聞くことができるかもしれません。愛すべき生活[非]必需品の数々に是非会いにいってください。

 

 

【ateliergangu/ アトリエガング】

東京都渋谷区元代々木町21-9シルエット104 1F

営業時間 13:00−19:00 日祝定休 *不定休日あり

http://ateliergangu.com/

 

 

 

 

文:西中川 京(プロジェクトコーディネーター/キュレーター)

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