2011.11.01 World Design Capital Helsinki 2012 ワールド・デザイン・キャピタル ヘルシンキ2012

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「OPEN HELSINKI」

2012年度の開催で3回目を迎えるicsid(International Counsil of Societies of Industrial Design)のワールド・デザイン・キャピタル(WDC)事業。2008年のトリノ、2010年のソウルに続き、来年はヘルシンキを中心とした南部フィンランドの5つの都市が舞台となります。WDC事業は、その土地の行政が主体となって開催される約一年間のプログラム。今回のWDCヘルシンキ2012では、一般から公募された約250のデザインイベントやデザインプロジェクトが、テーマである「OPEN HELSINKI」の元、準備されているそうです。「OPEN HELSINKIはいろいろな意味に受け取って欲しいメッセージだけど、個人的にはもっとヘルシンキが国際的な街になって欲しいの。」とラウラさん。

「生活に根づくデザイン」のためのプログラム

WDCヘルシンキ2012の特徴は、プログラム全体を街や社会がより良い方向へ変わるスタートラインとして捉えていること。これまでの開催されてきたWDCが一年だけで終了していたのとは異なり、5年から20年という長いスパンをかけたデザインプロジェクトが数多く立ち上がることにあります。ラウラさんは曰く、「今回のWDCで大切なのは、単発のデザインイベントではなく、子どもや孫にまでつながっていくデザインプロセスなの。デザインはものの形を作るだけではなく、解決策でもあるはずでしょ。デザインを武器に公共施設や交通から病院、港湾地域の開発まで幅広く切り込んでいく予定。だからとても1年じゃ終らないわね」。

ここでは、フィンランド社会を反映していると思われる特徴的なプロジェクトを3つ紹介します。

 365ウェルビーイング

アアルト大学主導で行われる、人々の福祉と健康を扱うデザインプロジェクト。デザインを先行する大学院生が12のグループに分かれて、実際の医療や福祉の現場で、より良いサービスや啓蒙の仕方についてのデザインメソッドを開発します。その結果は、期間中に開催されるオープンワークショップで発表され、将来的にはこの分野における国際的なプラットフォームにすることを目的にしているそうです。福祉大国ならではの説得力と野心溢れるプロジェクトです。

 静寂のカンピチャペル

WDCヘルシンキ2012を記念して街の中心部に建設中のチャペル。チャペルといっても宗教に限定されない施設で、ただ純粋に人々に静寂な時間を提供する空間になるそう。ヘルシンキ市の職員が管理し、早朝から夜中まで自由に利用できる施設になるそうです。デザインはMikko SummanenとK2Sアーキテクト。「宗教を限定しない祈りの空間」ってところに、多文化主義の背景を感じます。

ヘルシンキで一番古い建物と隣り合う静寂のカンピ・チャペル

宗教に関係なくって言っているけれど、

このイメージでは奥に十字架が見えてます・・・。

Habitale Ahead!

毎年9月に開催されているフィンランド最大の家具デザイン見本市の中に設けられているコーナー。コンテンポラリーデザインを中心に、企業ブース、ショールーム、コンペやプロトタイプ展示などが設置されるそうです。メゾンエオブジェのNOWとサローネサテリテを合わせたような感じでしょうか。毎年恒例のコーナーですが、今年はWDCヘルシンキ2012のテーマ「オープンヘルシンキ」に合わせて、よりインターナショナル色を強めてパワーアップ!TRUNKもこのHabitale Ahead!はサポートしていく予定です。興味のある方は是非一報ください。

 

他にも工場跡地や廃れた港がある地区を甦らせる計画や、空港のサービスや交通機関の新整備、新しい図書館の建設など、ヘルシンキを中心にどんどんプロジェクトがスタートします。近代デザインの父のような存在の国だけに、これまでとは違うWDCの姿をヘルシンキは見せてくれるでしょう。今からとても楽しみです。

もっと詳しい情報はこちらからご覧ください。

http://wdchelsinki2012.fi/

12月1日からはiPhon/iPadアプリも配信されるそうです。

WDC事務局のレセプション。

あーあ、素敵でため息がでます。

WDC事務局のオフィス。真っ白な空間ですっきり。仕事もはかどりそうです。

サウナと同じぐらい大切なドライ・トイレ

ところで、今回初めて知ったのですが、フィンランドの生活には、サウナと同じぐらいドライ・トイレというものが欠かせないそうです。ラウラさん曰く、「主に夏の家で使用するもので、電気も水道もない土地で使用するトイレです。一般的に母屋から離して建てられます。フィンランドのドライ・トイレの文化と伝統は豊かでユニーク。これからもずっと守っていくべきものの一つです」。

ちなみに、フィンランドのメジャーなデザインコンペの一つであるthe Habitale Design Competitionでも、「Outhouse(つまりドライ・トイレ)」は今年のテーマに取り上げられ、日本人デザイナーのYoshimasa Yamadaさんが一位を獲られたそうです。

http://mailer.gruppo.fi/t/ViewEmail/r/0A7EBDF0E3004732

 

ひと昔前の日本にもあったようなものを想像しつつ、ドライ・トイレにはもっと文明的な発展性を感じます。百聞は一見に如かず。来年はWDCを楽しみつつ、是非こちらも実見したいです。

 

 

 

西中川 京(プロジェクトコーディネーター/キュレーター)

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